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人類と刃物との出会い。
はるか大昔、人類はさすらうのをやめ、いつしか定住するようになりました。私たち人類は他の野獣のように頑丈な牙や爪を持っていませんでした。きっと刃物をはじめとした道具がよりよい生活への鍵を握っていたはずです。これらがなければ、飢えと死がこの世界を支配したことでしょう。
初期のナイフ
初期のナイフに飾りは全くありませんでした。(道具の美しさは、純粋な実用性から生まれたのです。)長持ちするように作られ、耐用寿命を延ばすため念入りに手入れされていました。
貴重な道具をさびつかせたり、だめにしてしまう愚かな人は、ほとんどいませんでした。道具の手入れを怠ることは、恩をあだで返すようなものだったからです。
産業革命後
その後、新しい製造方法や新素材が登場し、20世紀には、うれしくなるような格安ナイフが手に入るようになりました。普通に考えて、毎年、安価な板金製の新製品が買える時に、高価な鍛造製のナイフを買うでしょうか?
けれども、刃先は簡単にすり減り、ハンドルは割れるなど使い手は、粗悪品でさんざん苦労させられることになりました。人々は、現在再び、作業を手助けしてくれる価値ある道具を求めています。
手が機械と異なる点は、それがいつも直接に心と繋がれていることです。
隣のおじいさんが編んだ竹のかごを思い出してください。細部にわたって、丁寧に面取りされた素材は、突き出したり、擦れたりしないようにきれいに編まれています。手作りは感性を無視しません。素手で作っているのだから、もし未熟な製品を作ったら、作り手も怪我をしてしまいます。上等な道具は忠実な友となり、握るとあなたの手にぴったりとなじみます。常に人間を重視して作られているのです。
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