ダマスカス鋼ナイフ包丁庖丁刃物 包丁の研ぎ方 #4 渡辺刃物製作所
watanabeblade.com

←この他のナイフはこちらです。
シース | ロック | ライナー | おもしろ
Ready of sharpening?: 砥石はどんな状態ですか?
>水を染み込ませる
基本的に包丁を研ぐときには、水砥石をつかいます。下の写真のようにバケツに水を入れ、30分ほど浸けておいてください。一見、同じような砥石でも、水の染み込み方は様々です。砥粒の品種(アルミナ系、炭化けい素系)、粒度(砥粒の大きさ)、結合度(砥粒の保持力、結合剤の量)、組織(粒と粒の隙間)、結合剤の種類等、(こういう話を始めると長くなるので省きますが、)これらが影響しています。


刃研ぎが慣れてくると、砥汁(砥石の粉と水)が出やすい砥石と、この正反対に目詰まりしテカテカ光る砥石の2種類があるのに気付くと思います。砥石の選定は、あなたの腕前と研ぐ刃物、研ぎ方に応じて見つけていくと良いと思います。刃はこの砥汁の中を浮遊する砥粒によって研がれます。よって初心者には砥汁の出やすい砥石、すなわち軟らかい砥石の方が良く刃を削れるため向いています。私の場合、砥汁の出やすい砥石は、砥石の減るのも早いため、あまり好きじゃありません。(要するに不経済です。)寿司屋さんなんかも砥汁の出やすい砥石は嫌います。だって指や爪の間が汚れてしまいますから。手の汚れた寿司屋さんは、たぶん人気がないでしょう。とにかく、荒めの砥石の場合はある程度切削力も必要なため、砥汁が必要です。また、砥汁の出やすい砥石で研いだ方が刃の表面がきれいに均一に仕上がります。

>砥石の固定
砥石はガタガタ動いたり、滑ったりしないように、固定しなければなりません。タオルの上に置くか、台付き砥石を使うと良いでしょう。私の場合は十枚くらい重ねた新聞紙(ちょうど1日分くらい)の上に砥石を置いて作業しています。紙が汚れたら、一枚だけ剥いで捨てれば、またきれいな新しい面を使えるため便利です。


>砥石の面直し
あなたの砥石の面は凸凹になっていませんか?凸凹な砥石の上で刃を研ぐと、当然刃も凸凹になってしまいます。これは、大工道具の鑿(ノミ)や鉋(カンナ)ように平らな刃を研ぐ際に顕著に現れます。まず、「砥石の面直しをする。」これは基本になります。もし刃研ぎの途中で砥石の形が崩れたのに気付いたら、再び平らにしてあげると良いでしょう。

写真をクリックすると大きな画像が現れます。
1、真ん中を集中して使ったため、へこんでしまった砥石です。ちょっと分かりづらいですが、一番下の角と一番上の角は平らの状態です。通常、右利きの人が包丁を研ぐと、このように砥石が磨耗します。
2、面直しのやり方は、簡単です。幾つかありますので、紹介いたします。まず、砥石を2つ使う方法です。粗さの近い砥石を用意してください。同じ粗さの砥石であればベストです。
ちなみに写真の2つは、灰色の砥石が600番(荒砥石)、赤茶色の砥石が1000番(中砥)です。
3、矢印のように上に載せた砥石を前後させて擦ります。もちろん砥石は事前に十分水を染み込ませておいてください。
この際、砥石はぶつけたり、落としたりしないように取り扱ってください。砥石は簡単にいうと、お茶碗と同じです。雑に扱うと容易に割れたり、欠けたりしてしまいます。
4、数回擦ったら、砥石を観察してみましょう。砥石の当たっている部分と当たっていない部分が分かります。赤茶色の砥粒が付いているので、1の写真より砥石がどのように削れているか一目瞭然です。なるべく平らに平均して砥石を使うのが、刃研ぎのうまい人と言えます。次回刃研ぎする際、気を付けてみましょう。
とにかく平らになるまでこの作業を繰り返し、面直しをしましょう。
5、次にブロックを使う方法です。これは床屋のおじさんに教わりました。要領は同じです。ブロックの上に湿らせて砥石を擦りつけます。荒砥でやってみましたが、結構うまく平らに整います。大きめのブロックを使うのがポイントです。しかし、ブロックはそれ自体が粗いため、仕上砥石は表面を傷めてしまう可能性があるため、この方法を使わない方が無難です。床屋のおじさんは、車庫のコンクリートの床に擦り付けてやるときもあると言ってました。砥石に深い傷が付かないように注意するのなら、これもOKです。
6、最後についでにレンガでもやってみました。これも特に問題なく砥石の面直しを行うことが出来ました。刃物専門店に行くと面直し用の砥石が販売されています。斜めに溝が幾つも入った砥石です。もちろん、こういった専門の道具を使っても良いです。腕前に合わせて少しずつ道具を揃えていくというのは楽しいことだと思います。それと余談ですが、この斜めに溝の入った砥石は、普通の砥石に比べ構造的に弱いため大切に扱わないと、すぐ割れてしまいます。くれぐれも気を付けて!


さて、ここまで砥石を平らにしなさいと説明しておいて最後に申し訳ないのですが、故意に砥石をへこませて使うこと、そして形の崩れた砥石を直さず使うこともあります。円弧形状の刃物を刃付けするときなどです。草刈鎌のように内側にR形状になったもの、包丁でもRのキツイ刃物はわざとへこんだ砥石を直さず使うことがあります。また、少し凹んでいた方が両刃の包丁(菜切など)は、きれいなハマグリ刃になります。これはあくまで裏技ですので、ご参考まで。基本は常に平らに保つことです。
包丁の研ぎ方サイトマップ
#0 Introduction: 使い捨てとさよなら!
#1 Looking Sharp: 今、切れるのか、切れないのか。
#2 Project For Sharpening: どう研ぐか作戦を立てよう。
#3 Blade Of Mechanism: どうして切れる。
#4 Ready For Sharpening: 研ぐ準備。
#5 How to move on the stone: 包丁の持ち方、動かし方。
#6 来週につづく


前へ
次へ

トップページへ戻る ナイフ豆知識 保証とアフター デザインコンテスト
プレゼント 新潟結婚指輪 会社情報 お問い合わせ

渡辺刃物製作所 Copyright (C) 2000 Watanabe Blade. All Rights Reserved.